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ジャコウアゲハの香り

黒い影が一瞬目の縁を横切るように掠める。
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ほんの一瞬のために一体なんであるのかわからないが、蝶は良く同じ場所に戻ってくることが多い。もちろんそのまま飛んで行くことも多々有る。とくにアゲハ蝶などの大型の蝶は飛翔力が高いせいか、結構なスピードであっというまに見えなくこともあり、そうなると撮影はほとんどできない。
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息を殺して、少しの間待っていると、案の定戻ってきて花の蜜を吸い始めた。
真っ黒な羽と体に赤い派手な模様を纏っている「ジャコウアゲハ」だ。
見ようによっては、暴走族や走りやなどに見られるファイアーパターンのようにも見え、そう考えると実に不思議な自然の造形だ。
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このジャコウアゲハは、名前の通りジャコウの匂いがすると言われているが、今回そんな匂いは感じなかった。もっと近づく必要があるのかも知れないが、赤と黒のコントラストは、ある意味非常に美しいと改めて思った。
美しいものにはトゲがあると言うが、実はこのジャコウアゲハは毒を持っている。毒を持っていると言っても、食べなければ問題ないので、あくまで捕食者に対してのものだが、それゆえにこのジャコウアゲハに擬態する蝶もいる。
「クロアゲハ」「ナガサキアゲハ」「アゲハモドキ」などが、その代表であるとのことだ。
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このジャコウアゲハも、しっかり撮れたのは今回が初めてのような気がする。
最初、花に止まってそのあとすぐに飛んでしまったが、道の反対側の葉っぱに結構長い時間止まってくれた。いつも、確認もしっかりできないうちにあっという間に飛び去っていくことが多いので、非常にラッキーだった。
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ところで、この蝶ー正確には幼虫には面白い別名があるようだ。
「お菊虫」と言うらしい。このお菊というのは、誰でも知っている階段「皿屋敷」の悲劇のヒロインに由来するらしい。
なんでもジャコウアゲハの幼虫が大量発生し、後手に縛られた女性の姿に見えるところから、そんな風に言われたとのことだが、このお菊虫は志賀直哉の「暗夜行路」にも出てきている。
我々が想像する、夜の蝶や妖艶で不気味なイメージの原風景はこんなところからきているのかも知れないと勝手に想像している。
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このジャコウアゲハを見ていると、そんなイメージがピッタリするような思えた。

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by squeu | 2015-05-21 21:55 | 雑木林 | Comments(0)

いつもの空の下で 今日・・・


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